髪一本ほどの違い

センタリング・タッチ研究会 2017.11.04

今回も、参加者を順番に立位での施術をしてくださいました。
足趾からの細やかな動きが上方へと伝わり、頭部の先まで繋がっていく感覚を、実況中継しながら体感させてくださいました。
末梢から順に繋がっていくと、その先のバランスも全部変わっていくことを実感しました。
足元から触れるときは上の揺らぎを意識して、上からアプローチするときは下の重心の移り変わりを誘導しながら施術されていました。
固まっている所からずらし、揺れが起こるバランスに誘導すると、その方の身体が動き出し、自然に良い位置に戻っていく様子を観ることが出来ました。
上肢を浮かせて脱力できるバランスにあれば、力を抜こうとしなくても、無意識に肩が弛んでいく状態を体感させてくださいました。
紙一重よりも細い、髪一本ほどの僅かな違いで、肩の力が抜ける隙間が生まれることを体感させて頂き、その繊細な手技に感動しました。

肩の力が抜け、肘や手首が捻れない位置に導くことで、手の調整をしてくださいました。
それぞれの指先から体幹へ繋がって弛んでいく状態を感じられ、経絡の流れを体感できました。
五指のバランスの中で母指が伸びるように働くと、肚が充実することを実感し、いかに母指球の意識が薄かったかに気付きました。
K野先生の母指球に触れさせて頂き、中から起こる細やかな動きと、内側の経路の通り方の力強さには驚きました。
それから、呼吸の通り方を指標として、五指それぞれの働きを観察しました。
指先を机に当てたときと外したとき、母指と向き合って摘まんだときと弾くときの違いを検証しました。

正座位で、下肢後面が伸びて体幹の内部が締まるように息を吸い、臀部を浮かせました。
臀部下部が、張りを持ったまま伸びるように、骨盤を傾けてお辞儀をしました。
そこが利くバランスで座れているかどうかで、合気の技や治療の誘導が決まってくることを体験させて頂きました。
さらに、手の内の空間が丸くなるように母指と中指を合わせて畳に着くことで、手首が決まり、肘が浮き、肩が弛む位置に近付くことを感じられました。
身体のどこかのバランスが変わると、全体の動きが違ったものになることを実感しました。
礼法に含まれる型も、そのように定められた意図を意識して行えるかどうかで、一つ一つの所作の深まりが変わってくることを感じました。
それだけ細やかに自分の身体を観察し、感覚を研ぎ澄ましていく必要性を感じました。

K野先生、参加された皆様、今月も多くの学びをありがとうございました。

相手から伝わる感覚

センタリング・タッチ研究会 2017.10.01

今月のセンタリング・タッチ研究会では、K野先生が柔道の固め技を体験させてくださいました。
頚と腕の間の緩みを取り切られてしまうと、脚は動かせても力は入らず、全く返せなくなりました。
身体の連動を、繋がる方からではなく、固める方から観ることができ、頚を止められるだけで全身の自由が利かなくなることを実感しました。
そして、伸展を掛けたところから弛めるか弛めないかの違いだけで、治療と武術が共通していることを感じました。

センタリング・タッチによる施術を見せて頂き、受けさせて頂き、それからお互いに練習しました。
両手の中心を直接動かすのではなく、そこに意識を置いたまま、相手から伝わる感覚によって動くことを学びました。
そのためには、自分自身が、吸って浮かせて、弛めてから動くことの大切さを教えて頂きました。
丹田の動きが滞りなく通っていくように肩を弛めておき、感覚と動作が一致して行き来できる状態にしておく必要を感じました。
息を吸って中心に集まっていき、固まる所から少しずらすことで、癖の位置に戻ること無く、新しいバランスへ導けることを教えて頂きました。
偏りを改善しようとか、捻れを解消しようといった余計な意図を働かせなくても、その方の持つ自然の働きがバランスを整えてくれる様子を観察できました。

相手の頭部に手掌を馴染ませて、指先が自由に動かせるように沿わせ、センサーが働く状態を体験させてもらいました。
頚を伸ばしてもたれ掛かることで内部の糸を伸ばして、相手の呼吸によって導かれる変化を待ちました。
そして、張りがたわまないように骨盤を転がして付いていくことで、緩みを取り続けました。
ランダムに点滅する線香花火の光のように、手掌から、刻々と接点が変わっていく感覚が伝わってきました。
手の調整をされているK野先生の微細な動きが、そのまま頭部にも反映されていることを体験させてくださいました。
そうした手が出来ていると、触れるだけで自動的に相手と繋がり、弛んでいくバランスに導けることを実感しました。
センタリング・タッチは技術ではなく、それが可能となる身体を創っていくこと自体であるように感じました。

学ぶということが、知識や方法を増やすのではなく、それを受け取る自分自身をどう変えていくかというところに帰着することを再認識しました。
施術に臨むときの余計な力みややる気を無くしていくことで、剣術のようなシンプルな動きに近付いていくイメージが出来ました。
そうした身体を創れるように、日々の臨床や稽古に取り組んでいきたいと思います。
K野先生、参加された皆様、今月もありがとうございました。

臨界まで弓を引き分ける

センタリング・タッチ研究会 2017.09.03

昨日は、センタリング・タッチ研究会に参加させて頂きました。

前半は、立位でのセンタリング・タッチを体験させて頂きました。
触れて頂く度に、自分でも気付けていなかった捻れや滞りが解きほぐれ、緊張が弛んで、呼吸の入り方が深くなることを実感できました。
外から見てもほとんど動きが分からないほどの繊細なタッチで、受け手の姿勢や動作が変わっていく様子を目の当たりにしました。

両側のベルトを引くことで、中央の筒の中のバネが縮む仕組みのスポーツ用品を用意してくださっており、それを使って色々な動作をしました。
道具の反発力を利用して、片側の手の前方への伸びと、対側の肘の後方への引きを拮抗させながら、弓を張るように構えました。
臨界まで弓を引き分けることで、身体の中が伸び、中央が細く締まっていくことを感じられました。
張った位置では、横隔膜の締めを維持することで構えを保つことができ、呼吸の操作と一致して張力が調節されることを体感しました。
頭が前に出たり、肋骨が落ちたりすると、途端に中の繋がりが途切れ、身体のあちこちが緊張することを実感しました。
前屈姿勢からベルトに手を掛けて体幹を起こしたり、両手でバネを地面へ押し下げたりする動作も試し、弓を引くときと同様に身体を張る働きが重要であることを体験しました。
そして、身体に備わった弓や槍や刀が、センタリング・タッチの身体操法にも深く関わっていることを教えてくださいました。
繋がるバランスに導いて緩みを取り、内部の伸びによって槍を突くように丹田から動くことで、頚まで伝わるといった技を実演してくださいました。

後半は、仰臥位での施術を体験させて頂きました。
脛に手を当てて左右それぞれ横や縦に揺らしてくださり、身体への伝わり方の違いを体感できました。
脚に触れた手からのわずかな振動からも、繋がっていれば全身に伝わり、滞りがあれば揺れが途切れることを感じられました。
そして、足部の誘導が、そのまま肩や頭部にも反映され、緊張が弛んでいくことを体感させて頂きました。
全身が皮膚で覆われ、筋が繋がり、骨は連結し、経絡も通り、どこかに触れるだけで全体のバランスに変化が表れるということを自然に感じられました。

それから、パートナーに仰臥位で寝てもらい、センタリング・タッチの練習をしました。
足元に座って、弓を射るときのように軸を伸ばし、両側の脛に手掌を沿わせました。
力を抜いて骨の深さまで沈め、芯を掴めるように五指を寄せて細くしました。
常に手の内の当たりが変わるように、力が抜けるバランスに向かう方向へ転がし続けました。
自分が脱力できるようにセンタリングすることで、相手も繋がる位置に導かれていくことを実感しました。
そして、相手の身体の先の空間にまで力を伝え、自分の後方まで意識を広げて通り道とすることで、初めて一体となった行き来が生まれることを体感しました。

相手の状態を受け取れる身体を創り、感じたことを施術を通じて検証しながら、感覚を磨き続けていくことの大切さを学びました。
K野先生、参加された皆様、多くの学びをくださり、ありがとうございました。

 

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