本の紹介25

アサナプラナヤマムドラパンダ

『アサナ プラナヤマ ムドラ パンダ』

著者 スワミ・サテャナンダ・サラスワティ
発行人 アナンド・ゴギ

まるで意識は考えを産み、身体が行動をとるようでありますが、これら二つは別々のものではありません。精神や意識の実体的な形が肉体であり、肉体の精微な形が精神や意識です。そしてアサナはこの二つを統合し調和させます。身体と意識はどちらもストレスや緊張などを蓄積します。一つの精神的なしこりは、身体や筋肉の一ヶ所にしこりとして表れ、逆もまた同様です。
アサナの目的はこれらのもつれを開放することです。
~ヨガアサナへの序章

この本は、世界中のヨガの学校で用いられている教科書で、初心者から上級者まで学びを深められるように、単純な動作から段階を追って、分かりやすく丁寧に解説されています。
呼吸と同調させながら、心地良く身体を動かすことができ、ヨガに対して抱いていたイメージが大きく変わりました。
ヨガの実践的な内容と共に、それに取り組む上での前提となる考え方は、生命観や人生観を内包するもので、深く感銘を受けました。
自分自身の心身の状態を見つめ直し、より豊かな人生を送っていくために、とても役立つ一冊だと思います。

<参考サイト>ヨガ学校での標準テキスト

本の紹介24

アナトミー・トレイン

『アナトミー・トレイン』

著者 トーマス・W・マイヤース
訳者 板場英行 石井慎一郎
発行所 医学書院

このように筋を分離して表す方法は、決定的な表現として筋解剖学では絶対的に優勢であることから(これは複雑な人間の運動や安定性は個々の筋の作用をまとめることで引き出されるという単純かつ還元主義的信念に沿っている)、現世代のセラピストはほかの考え方ができなくなっている。
筋を見て定義するこの方法は、ナイフで個々の筋を周囲の筋膜面から容易に分離するという単なる古代の遺物である。しかし、これは身体がどのように「思考している」のか、あるいは、生物学的にどのように組み立てられているのかということを表わすものではない。
~はじめに


現代医学における人体を細分化する考えから離れ、生体としてのヒトの姿勢や運動の在り方を見直すという立場で書かれています。
多くの写真や図を用いて説明されており、実際の活動の中でどのラインが働いているかを分析している内容を、特に興味深く感じました。
経絡との共通部分も見られ、身体の全体的なバランスを診る上での指標の一つとして、参考になる事柄が多くありました。
この本で取り上げられているラインは大きく分けて七種類ですが、それ以外にも存在するであろう繋がりに関しても観察を深めていきたいと思っています。

本の紹介23

動的平衡

『動的平衡』

著者 福岡伸一
発行所 木楽舎
なぜなら、彼の理論を拡張すれば、環境にあるすべての分子は、私たち生命体の中を通り抜け、また環境へと戻る大循環の流れの中にあり、どの局面をとっても、そこには動的平衡を保ったネットワークが存在していると考えられるからである。
動的平衡にあるネットワークの一部分を切り取って他の部分と入れ換えたり、局所的な加速を行うことは、一見、効率を高めているかのように見えて、結局は動的平衡に負荷をあたえ、流れを乱すことに帰結する。
実質的に同等に見える部分部分は、それぞれが置かれている動的平衡の中でのみ、その意味と機能をもち、機能単位と見える部分にもその実、境界線はない。
~第8章 生命は分子の「淀み」

生命を、環境の中で常に変化することで均衡を保つ「動的平衡」の存在として捉え、様々な分野において、身体を部分として観ることの危険性を説かれています。
近年の科学の研究成果を基に書かれていますが、東洋思想の生命観とも重なる部分があることを面白く思いました。
日常に関わる身近な話題を中心に分かりやすく説明されており、単純に、生命の不思議に目を向けることの楽しみを味わえます。
特に、錯覚の起こる仕組みや、細胞内のミトコンドリアに関する話を興味深く感じました。

本の紹介22

チャクラヒーリング


『チャクラ ヒーリング』

著者 リズ・シンプソン
発行所 産調出版

チャクラは相互につながりあいながら、個々が開いて宇宙の生命エネルギーの"電流"を体に流しこむバルブのような働きをします。チャクラシステムの一部に機能障害や滞りがあると、他の部分すべてに影響を及ぼします。不調があらわれるのはチャクラを通過するエネルギーが多すぎたり、少なすぎたりするときです。本書は、滞りや機能障害があなたの問題とどう関係するのか、また人生のあらゆる局面をこれから紹介する技法を使っていかに改善できるかを知る手がかりを提供します。


この本では、古代インドで発達したチャクラについての説明と、それを活かして心身の状態を調整する方法を、色鮮やかな画像と共に紹介されています。
それぞれのエクササイズについて、動作だけではなく、色や匂いや風景といった具体的なイメージを、チャクラによって使い分けて行なうように書かれていることを面白く思いました。
今までチャクラに関して端々から得た知識しかありませんでしたが、想像していた以上に生命に対する根本的な捉え方が中国の伝統医学と似ていることを知り、学ぶところが多くありました。
異なる発達を遂げる以前から存在したであろうそれらの起源を、自分自身の中に見出していけるように、観察を深めていきたいと思っています。

本の紹介21

指圧

『指圧』

著者 増永静人
発行所 医道の日本社

「病気になったのは誰のせいでもない、自分の責任なのだと考えなさい。そうすれば、その誰かを追求したり、これをやっつける方法を探し出したりしなくても、自分の力で病気が治るのだということがわかるでしょう」と、私は「指圧で病気が治るのですか」という質問に答えることがあります。
~第5章 症状による治療法


この本には、筆者が作り上げた「経絡指圧」の考え方や治療法について書かれています。
東洋医学の古典そのものとは異なる、指圧を用いて治療する中で見出された経絡や経穴に対する独自の捉え方は、とても参考になりました。
また、治療に関する内容だけでなく、生命観や健康観といったより根本的な部分でも、治療に臨む上で考えさせられる記述が多くありました。
ずいぶん前にも読んだことがあったのですが、その時と比べると、筆者が伝えようとしている内容をより具体的に感じられた気がしました。
今までに読んだ中で気になる箇所があった他の本も、また違った印象を持つかも知れないので、改めて読み直してみようと思っています。

本の紹介20

新解さんの謎

『新解さんの謎』

著者 赤瀬川原平
発行所 文春文庫

ふつう辞書というのは説明をムダなく最小限に抑えている。その方がミスも少なく、辞書的な正しさを保守しやすい。ところがこの新明解国語辞典はムダなく最小限なんてケチなことをせずに、どんどん説明してくれる。ミスを恐れるなんてビクついたところがあろうことか、いくらでも説明サービスをしてくれるのだ。日本語をわからせようという明解パワーである。そのパワーが渦を巻いて、逆に辞書の中が密林の奥の沼のようになっている。
~第二章 深まる謎


この本は、『新明解国語辞典』に記載されている「言葉」の説明を、筆者の感想を交えながら紹介されています。
それぞれの「言葉」の説明を読んでみると、納得できる解説も、疑問が残る解釈も、呆れ返るような例文もあり、広く用いられている辞典に「言葉」に対する独自の見解が色濃く表れていることを面白く思いました。
「言葉」は、自分自身の記憶を記録したり、他人に意志を伝達したりする際に重要な役割を果たしますが、同じ「言葉」でも、その時々の精神状態によって感じ方が変わったり、各人によって捉え方が違ったりします。
しかし、そうした不明瞭性を避けるために「言葉」を定義しようとしても、それを形として表わそうとすれば「言葉」をもってする他ありません。
そう考えると、絶対的な「言葉」の定義はそもそも存在せず、誰もが、自分自身にとってのみ明快な国語辞典を心の中に持っているものなのかも知れません。

本の紹介19

モモ

『モモ』

著者 ミヒャエル・エンデ
訳者 大島かおり
発行所 岩波書店

小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。
でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこの点でモモは、それこそほかには例のないすばらしい才能をもっていたのです。
~一章 大きな都会と小さな少女


ほぼ副題を言い換えるだけになりますが、この本の内容は、「時間貯蓄銀行」を運営する「灰色の男たち」から人々が盗まれてしまった時間を取り返すために旅立つ、モモという少女の活躍を描いたファンタジーです。
子供の頃は、「時間」の不思議な捉えかたや、「灰色の男たち」の不気味さに引き込まれ、ひとつの冒険活劇として楽しんでいましたが、いま読んでみても感じるところの多い作品です。
『「灰色の男たち」が生まれる条件は人間が作り出してきた』という表現は、現代社会における様々な問題に当てはめることができ、それらを解決するためには特別な能力や技術が必要ではないことが示されています。
世の中で、無駄だとされていることがどれほど大切で、有益だとされていることがどれだけ空虚かを改めて考えさせてくれる一冊です。

本の紹介18

自分を生かす古武術の心得

『自分を生かす古武術の心得』

著者 多田容子
発行所 集英社

常に、目から鱗をはがし続けられるような経験や稽古をしよう。はがれたら、次の鱗を付けず、素直な目でものを見、感じてみよう。偉いとか、物知りだと言われるより、気持ちがあらたまる快感を知ろう。そうしていれば、いつか、自分の意志で自分の心身の曇りを取り去ることができるようになると、私は信じている。
~第七章 新境地を得る心の持ちよう


この本では、筆者が古武術の稽古を通して得たことを、自分自身の経験と照らし合わせ、日常生活の中で活用していく方法が述べられています。
筆者が身体の使い方を学んでいる過程を現在進行形で書かれているため、共感できる部分が多くあり、とても勉強になりました。
特に、身体のバランスを多数の軸の複合として捉える発想は、今までの私には無い考え方だったので興味深く感じました。
書かれている内容そのまま鵜呑みにするのではなく、自分自身で確かめながら、学んだことを生かせるように工夫していきたいと思っています。

本の紹介17

考えない練習

『考えない練習』

著者 小池龍之介
発行所 小学館

考えごとが脳内にうずまいている時ほど、音の情報が入ってくる度合いが少ないはずです。いまどんな音が流れていて、それがどんな意味を持っているのか。それがわからないのは、無意識下で「考える」ことに多くのエネルギーを割いているからです。
人は、落ち着いている時には、あまりあれこれと考えません。混乱している時ほど、考える量や時間が増えてしまいます。
~第1章 思考という病


この本では、現代における様々な悩みの原因と解決方法を、仏教という視点から分かりやすく説明されています。
タイトルだけを見ると誤解しそうになりますが、「何も考えない」状態を目指すというよりは、一つの感覚に「集中する」ことによって余計な思考に振り回される状態を減らしていくといったことが勧められています。
私も生活する中で、他の全てを忘れてしまうくらい集中して物事に取り組めたときには、良い結果が生まれることが多いような気がします。
表面的な効率を優先して、実際に感じている感覚を疎かにしてしまうようなことの無いように、目の前で起きている出来事の一つ一つを大切にして毎日を過ごしていきたいと思いました。

本の紹介16

米朝ばなし

『米朝ばなし 上方落語地図』

著者 桂米朝
発行所 毎日新聞社

『池田の猪買い』の中で、池田への道筋を教えるのに、「淀屋橋、大江橋、蜆橋と、橋が三つある。これを渡るとお初天神が見えたあるな。お初天神の西門のところに、紅卯というすし屋の看板が見えたある。これが目印や、そこから北へずーっと一本道。まっすぐに抜けたら、それが池田へ行く道や。十三の渡しに三国の渡しと、渡しを二つ越える・・・」と説明している。十三という地名は、淀川の上流から数えてちょうど十三番目の渡船場があり、十三番目の渡しが、いつの間にか、十三となったと聞きました。
~十三


上方落語に出てくる近畿地方の地名を、多くの噺や、舞台となった当時の状況と絡めて紹介されています。
落語の噺の内容をより深く知るための参考となるだけでなく、その反対に、落語という視点を通してその土地の歴史や文化を覗き見ることが出来ます。
私にとって馴染みのある地名が多く、それが当時の人々にとってはどのような場所であったかを感じることができ、とても面白く思いました。
また、フィクションであるはずの落語の噺の多くに、これほど具体的で詳細な背景の設定がなされていることに、落語という文化の持つ「笑い」以外の一面を見た気がしました。

本の紹介15

脳と心の地形図

『脳と心の地形図』

著者 リタ・カーター
発行所 原書房

脳の話は、どこが面白いのだろうか。
脳という視点から見ると、日常生活でわれわれが当たり前だと思っていることが、まったく違って見える。目からウロコが落ちるのである。
われわれは脳で世界をとらえているが、ふだんはそう思っていない。世界のほうが「そうなっている」と思っている。しかし、そうなっていると「思っている」のは、あなたの脳である。
~監修のことば


この本では、現在までに明らかになっている脳や意識についての研究結果を、分かりやすく解説しています。
学術的な説明だけではなく、脳の働きに関する不思議なエピソードや、絵や図を用いた遊びも盛り込まれており、楽しみながら読むことが出来ました。
左脳と右脳の関連や感覚の認識などの説明を読むと、私が最近学んでいる身体や意識の使い方とも繋がる部分も多く、とても参考になりました。
そうした新しく知る内容を面白く感じる反面、現代でも脳や意識については、まだまだ解明されていないことのほうが多いという事実に、ほっとするような感情も抱きました。
「ヒトゲノム」や「万能細胞」といった話題に関してもそうですが、生命の深部に迫る話題については、生命の尊厳を損なう方向に向かうのではないかという危惧や、ヒトの手で解明されるものであって欲しくないという期待が、心のどこかにあるからかも知れません。

本の紹介14

風の谷のナウシカ

『風の谷のナウシカ』

著者 宮崎駿
発行所 徳間書店

漫画はジャンルを問わずよく読むほうですが、これほど独自の世界観が上手く表現されている作品は見たことがありません。
それは決して現実離れした世界ではなく、身の回りで起こっている環境問題や他民族・他宗教間の争いとの関連性も見て取れ、考えさせられることが多くあります。
全編を通しての大きなテーマは「自然と人間の共存」だと思いますが、作者の連載中での試行錯誤の結果として、自然崇拝ともエコロジー思想とも異なる結末に至っています。
次第に流れの中心に引き込まれていく主人公と、それに伴って世界の謎が解けていく展開が見事で、ついつい考え込みながら読んでしまいますが、単純に娯楽として楽しめる作品だと思います。

本の紹介13

ことば遊び百科

『ことば遊び百科』

著者 桑原茂夫
発行所 筑摩書房

なぜこんなにたくさんのことば遊びがあるのだろうか。人間が、ことばを思うまま「扱う」ことに、おどろきと不思議さと喜びを感じるからではないかと思う。
ことば遊びを楽しむために


この本には、洒落から回文から暗号文からアクロスティックからアナグラムから、古今東西の言葉遊びが紹介されています。
単なる遊びとしてだけではなく、自分の思いをより強く表現するためであったり、他人に知られたくない情報を密かに伝えるためであったり、様々な理由で言葉遊びが作り出されてきたことが分かります。
優れた作品の解説を読むと、まるで手品を見ているようで、それを作った人達の言葉遊びに懸ける情熱に驚かされます。
遊んでばかりというのは問題ですが、真剣に取り組む中にも遊び心を大切にしていきたいものです。

本の紹介12

空の名前

『空の名前』

著者 高橋健司
発行所 角川書店

余寒(よかん)
立春を過ぎると暦の上ではもう春です。そこで、立春以降の寒さは冬が残していったものとして、余寒といいます。
どんなに寒くとももう冬ではない、季節は春なのだと、春を待つ気持ちが感じられる言葉で、残暑の対語です。
~季節の章


この本では、天候や季節を表す名前が、美しい写真と共に紹介されています。
私が聞いたことが無い名前も沢山ありましたが、言葉の由来や出典を交えての解説は分かりやすく、面白いものでした。
四季の移り変わりの中で起こる自然現象が、これほど細かく分類され、それに合った名前が付けられていることに驚かされます。
今の「空」に、どのような名前が付けられているのかを調べるのも良いですが、自分が見たままに勝手に名前を付けて見比べてみるのも楽しいかも知れません。

本の紹介11

カミナリさまはなぜヘソをねらうのか

『カミナリさまはなぜヘソをねらうのか』

著者 吉野裕子
発行所 サンマーク出版

お稲荷さんに油揚げをお供えするのも、ダルマさんが赤いのも、おなかに赤ちゃんができて五か月になると戌の日に岩田帯を締めるのも、毎年の干支も、そして、この本のタイトル『カミナリさまはなぜヘソをねらうのか』も、古代中国の考え方に照らせば、ほんとうはみんな、しっかりとした根拠・理由があってのことでした。しかし、いつしか時とともにそれはわからなくなってしまって、行事や言葉という「形」だけが現在まで続いています。
~はじめに


この本では、日本の様々な文化を、陰陽五行説という観点から解釈して分かりやすく説明されています。
私は、「桃太郎のサル・キジ・イヌは、何を表しているのか」「羽根つきは、なぜ正月だけにやるのか」が特に面白く思いました。
書いてある内容の全てが真実なのか、また真実だとしても、それを知ったところで何の役に立つのかは分かりませんが、何の疑問も持っていなかった事柄に想像の余地を与えてもらえるということは楽しいものでした。
筆者の著作は何冊か読みましたが、特に干支や易に関して漠然とした知識しか持ち合わせていなかった私にとっては、目から鱗が落ちる記述が沢山ありました。
東洋医学も、陰陽五行説を医学という観点から組み立てられたものですが、それはほんの一面に過ぎないことがよく分かりました。

 

Template Designed by めもらんだむ RSS
special thanks: Sky RuinsDW99 : aqua_3cpl Customized Version】