考察レポート03

「全身のバランス」や「身体の連動」といった言葉を用いることがありますが、それらをどのように表わせるかを考えてみます。
伸筋群・屈筋群といった解剖学上の分類は、末梢の関節の動く方向を基準として決められているため、上肢と下肢あるいは体幹と下肢の動作において整合性が取れず、全身に渡る運動を表すのに適しているとは言えません。
そこで、東洋医学の経絡のイメージを簡略化して取り入れてみます。
身体を横断面で考えてみると、ほとんどの部位が円形に近い形となることが想像されます。
円形のままでは基準を設けにくいため、それに内接する六角形を想定します。
あらゆる高さでその接点が繋がっているとすれば、身体前面に3本、後面に3本の経路が現れ、それぞれの内側、中央、外側を通っていることがイメージ出来ます。
必ずしも、通っている深さは皮膚面上では無く、また、流れている方向も長軸方向のみとは限りません。
六角形
上肢にも下肢にも、左右それぞれ六本ずつの繋がりがあるとすると、それぞれの働きを充分に活かせている状況が、バランスが取れた状態であると言えます。
身体のいずれかの部位に痛みが生じている場合は、そうしたバランスが崩れている可能性が考えられます。
例えば、身体の左側に重心が寄った姿勢が続けば、他の経路に比べて左下肢の外側の負担が大きくなっていることが想像されます。
あるいは、右手の親指を酷使する作業が多ければ、右上肢の外側の経路に疲労が溜まることが予想されます。
そうした偏りが積み重なると、その経路の緊張が高まり、結果として痛みが生じることがあります。
何らかの治療を施して痛みが改善したとしても、それまでと同じ身体の使い方をしていると、同様の症状が起こる可能性があり、根本的な解決にはなりません。
また、痛みが出ないように反対側で同様の使い方をしたり、筋力不足が原因だと考えトレーニングで鍛えたりすることは、偏りを助長してしまう可能性もあります。
したがって、治療を施す上で、痛みの生じている経路の緊張を弛めると共に、上手く働いていない経路を活かしていくことが大切になります。

私達は日常生活を送る中で、知らず知らずの内に、表層の筋あるいは目的とするものに近い部位を使って用件を済ましてしまう傾向にあります。
物を取ろうとして手を伸ばしたり、階段を登ろうとして大腿を持ち上げたり、振り向こうとして首を回したりといった普段何気なく行なっている動作が、しばしば偏りの原因となってしまっていることがあります。
それらの行動は、どこから動きが起こっているか、どの経路を通って行なわれているかによって、全く質の異なったものとなります。
身体後面や外側を通る経絡は、いずれも長い過程を辿って身体を巡ります。
筋を縮めることで関節を動かすのではなく、それらの経路の伸びる方向を辿ることで、表裏のバランスが取れ繋がった動作が可能となります。
また、体幹から上肢あるいは下肢に付着する深層筋の走行を見ると、いずれも四肢の内側に停止していることが分かります。
六本の経路が、頭部もしくは体幹から四肢の先端まで続いているとすると、指の本数よりも一本多いことになります。
経絡図では、小指や母趾に二本の経絡が走行し、身体の内側を通る繋がりの働きが示唆されています。

身体の持つ働きを充分に活かせるように、治療と共に、姿勢や動作のアドバイスを大切にしていきたいと考えています。

<参考文献>
『経絡経穴概論』 編者:東洋療法学校協会 発行所:医道の日本社

体験記48

呼吸法研究会 2013.10.27

仰臥位で、腰背部に座布団を挟んで呼吸を観察する
・最も膨らんでいる位置
・骨盤の傾きと腹部の伸び
・恥骨の向き
・頭部の浮き
・呼気に伴う弛み
・上下への広がり

立位で、杖を身体に当てながら呼吸を観察する
・下肢内側の張り
・骨盤の前方と後方の締め
・鼠径部の深み
・肘の引き
・手背部の意識
・仙骨と後頭骨の連動

今月の呼吸法研究会では、腹部を伸ばしておくことの大切さに気付くことが出来ました。
吸気時に背側を張るのではなく腹側を伸ばすことで、第五腰椎が入り、後頭部が決まることを感じました。
体幹を前方に倒す際も、腹部を縮めずに股関節から傾けることで、体幹の自由度を保ったまま動作を行えることを学びました。
自分自身の重みや相手からの負荷を鼠径部へと吸い込める姿勢にあると、受け止めて固まることなく、弛めたり返したり出来ることを感じられました。
M岡さん、参加者の皆様、今月も多くの発見をありがとうございました。

活動報告42

健康維持互助会 2013.10.27

今月の健康維持互助会の前半は、K元さんが企画・進行してくださいました。

仰臥位での呼吸を観察する
・下肢の外、内、中央
・膝を曲げる角度
・イメージと内部の動き
・腰背部への吸気
・下肢から体幹への繋がり
・立位での安定感

腹臥位での繋がりを観察する
・足関節の決め
・頭部の浮き
・身体後面の張り
・腹部の支点
・吸息の長さと呼息の長さ
・脱力の広がり

後半の合気手技研究会では、肩の動きや体幹からの繋がりを改善する施術を研究しました。

仰臥位で、上肢の伸びを誘導する
・上腕、前腕、手部の落ちる方向
・鎖骨と肩甲骨の関係性
・肋骨の浮き
・相手の重みを感じられる姿勢
・意識の強い経路と薄い経路
・動作の繋がりの変化

下肢から体幹への繋がりを改善する
・両手の間の張り
・順に繋がる伸び
・股関節の曲がる位置
・脊柱への伝わり
・ひっくり返る手前のバランス
・踵で蹴れる誘導

前半は、呼吸の入りやすさをガイドとして、自分自身にとっての「中央」を認識していくことの大切さを学びました。
後半は、相手の重みや関節の転がる方向を吸い込める位置関係が、お互いにとって力が抜ける姿勢と一致していることに気付くことが出来ました。
前半の進行をしてくださったK元さん、後半のお相手をしてくださったZ間さん、参加者の皆様、ありがとうございました。

観照文59

合気観照塾 2013.10.26

始めに、仰臥位で両手の間に太極棒を持ち、呼吸に伴う動きを観察しました。
足関節の決め、下肢内側の張り、骨盤の傾き、腹部の伸び、頭部の浮きといった様々な要素が関連し合って、繋がった動作が生まれることを学びました。
頭部を浮かせることで、体幹が自由に動かせる状態になり、呼吸によって起こった骨盤の動きが手部へと伝えられることを感じました。

正坐位においても同様に、呼吸によって自分自身の軸を立ち上げてから臨むことの大切さを感じました。
相手から受けた重みを鼠径部に吸い込んで身体の正中に集め、その細さを保つことを意識しながら呼吸を吸い上げました。
浮かせた状態から、その位置を保ったまま力を抜くことで、相手の傾いていく方向を感じ、それに付いて行けることを学びました。
手部の動きが先行して、中心で動ける範囲から外れた途端に、上肢に力が入り、相手との繋がりが途切れてしまうことを実感しました。

それから、相手に片腕を把持してもらい、相手の前腕を撫でるようにして力を伝えました。
接点を止めたまま相手の肌を撫でることで、その方向に対応した動きが起こり、徐々にその輪を広げていくと相手を転ばせることが出来ました。
下腹部から起こった動きが途中で妨げられることなく相手の頚まで伝わると、見かけ上の動きからは想像がつかないほど大きな力となることを実感できました。

丹田の働きを充分に活かせるように、脱力した状態での力の伝わり方を観察していきたいと思います。

心光景

最近、心臓の動きがどの様に全身に伝わっているかを観察しています。
激しい運動をしたあとは心臓の拍動を強く感じますが、安静時においても、心拍に合わせて身体が小さく揺れていることを感じられます。
心拍による響きが伝わりやすい姿勢は、呼吸の通りやすい姿勢とも共通し、姿勢を変えることによって伝わり方は変化します。

心臓からは、全身に張り巡らされた血管を通って血液が送られており、床あるいは身体同士で接している部分は、特に脈の拍動を感じやすくなります。
吸息時には肺で静脈血のガス交換を行なうために、全身の血液が末梢から心臓に向かって集まります。
脈管の動きは呼吸と密接に関連し、超音波検査装置を用いて静脈の動きを見ると、実際に呼吸によって血管の太さが変化する様子が観察されます。
呼吸が深くなるほど、脈管の伸縮の度合いは大きくなり、呼吸が全身の血液の循環に与える影響の大きさを知ることが出来ます。
呼吸に伴って身体の全身が伸びたり膨らんだりする感覚が得られますが、それと脈管やその中を通る血液の動きも関連があるのではないかと考えています。
また、心拍に伴う動きを感じる深さをガイドとして、呼吸の通る経路を変えられることも感じています。

体幹の内部に目を向けてみると、腹部を通る動脈が、心臓の拍動と同調して動いていることを感じられます。
肺や心臓・脈管のみならず、身体に存在するあらゆる臓器が協調して働くことによって、生命を支えてくれています。
特に何もせずにじっとしている時にも、身体の内部は驚くほど活発に動いてくれていることが実感されます。
そうした体験に伴って、脈診を行なっているときの感覚も変わってきました。
身体内部で起こっている動きの現れというイメージを持って脈を診れるようになり、身体のバランスが整うことで良い脈状に近付くということを自然に感じるようになりました。

心臓の位置も形状も動きも、脈管の走行も性質も状態も、それぞれ全く異なります。
血圧や脈拍といった数値から、一般的な平均値と、あるいはその方の過去の値との比較は出来ても、全身の関わりの中での現状を知ることは出来ません。
脈を通して伝わるたくさんの情報を受け取れるように、感覚を高めていきたいと思います。

由良川

観照文58

合気観照塾 2013.10.19

最初に、太極棒を持って、「雑巾絞り」の動作を行ないました。
色々な高さを試し、呼吸や目線と一致して伸びていく方向を観察しました。
どこに基準を置くかによって、下方に呼吸を下ろして元の位置に戻ることも、太極棒と一緒に下肢まで付いて伸びていくことも、重心を移して歩法を行なうことも出来ることを学びました。

それから、縦向きに持った太極棒を自分自身に見立て、後頭骨・仙骨と棒の両端が一致する位置を探しました。
自分自身の姿勢や、太極棒の高さや傾きを調節することで、呼吸によって生じる仙骨と後頭骨の間の伸びが、太極棒を持つ両手の間に生まれる張りと同調する場所があることを感じました。
その状態を維持したまま動作を行えると、太極棒に負荷を掛けられても、自分自身の一部として受けたり返したり出来ることを学びました。

太極棒を水平方向に向け、相手を転ばせる技も練習しました。
肋骨を浮かせ、期門の高さを保ったまま動作を行なうことで、丹田から起こる動きが肋骨とも連動して相手に伝わることを学びました。
どの指を曲げるか、浮かすかによって、肋骨の浮きや丹田の意識や力の通る経路に変化が起こることを観察しました。
手指を柔らかく使うことで、手関節を固めることなく、自由に転がせる位置で決め続けられることを感じました。

相対稽古を通して、相手に伝わりにくい動きを感じることが出来ましたので、精度を上げられるよう動作を見直していきたいと思います。

観照文57

合気観照塾 2013.10.12

先日の観照塾では、太極棒を用いての稽古がありました。

両手で太極棒を持ち、相手に両側の前腕に負荷を掛けてもらいました。
呼息と共に接点の圧力を均一にし、吸息と共に体幹を締めながら、相手との間の弛みを取りました。
右手と左手それぞれで焦点を合わせることで、両方から伝わる力が相手の頚で合わさり、深い位置まで入れられることが分かりました。
そこから相手の後方を意識し、空気の通り道に残った弛みを締めながら息を吐くことで、呼吸によって起こる力を集束させて伝えられることを学びました。

それから、片手で太極棒を把持した状態でも、同様に負荷を掛けてもらいました。
前腕から手部に掛けての尺側の反りと一致して、相手を下方から仰け反らせる力が起こることを感じました。
骨盤から肩甲骨の外側を通る経路を働かせることで、肘が落ち、肩部の力を抜いたまま上肢を浮かせられることを学びました。
相手を浮かせてから太極棒を持った手を柔らかく動かすと、太極棒の傾きがそのまま相手の頚へ伝わる力の方向と一致することを興味深く感じました。

それから、立位で向き合い、相手に両腕を把持して動かしてもらいました。
どこかに力が入っていると、あちこちでぶつかって、ぎこちない動きになりましたが、力を抜いて相手の動きに任せられると、バランスの変化が滑らかに伝わり、相手から受ける力の大きさや方向を感じられました。
上肢を預けていても、骨盤は抜けない範囲に保っておくことで、そこから相手のバランスの崩れが増す方向へ切り返せることを学びました。

力が抜ける状態にしておくことの大切さを様々な形で実感できましたので、日常の動作において力の入っている経路を観察していきたいと思います。

学習内容32

バランス☆運動療法初級 2013.10.12

昨日の中心塾では、最初に立位での現状認識を行ない、K野先生の施術を受けさせて頂きました。
先に肋骨を浮かせてから重心が掛かっている側の下肢を弛めると言うように、そのときの姿勢や状態に合わせて生まれる施術の道筋を感じることが出来ました。
呼吸を誘導して頂きながら、息を吸うことで浮き、力を抜くことで中が落ち、吐くことで伸びるといったように、自分自身の呼吸によって伸展が行なわれる様子を体感しました。
両手で虚実のバランスが平になるように張りを作り、抜けていくときも癖の方向に戻らないように、頚と繋がる位置へ付け続けておくことの大切さを感じました。

それから、片側の上肢を、息を吸った分だけ浮かせ、力が抜ける位置を確認しながら少しずつ上げていきました。
吸息によって指先まで伸びていく経路と、呼息に伴って戻ってくる経路を意識しながら行ないました。
上げる高さによって、重心の位置や重みのバランスが変化し、それらの釣り合う場所を探ることで、力の抜ける姿勢を掴めることを感じました。
腕を上方に上げる動作もこれらの積み重ねであり、その間に起こっている変化を充分に検証できていなかったことを感じました。
動作を行なった後に反対側と比べてみると、上肢の長さが伸び、関節の動きが軽くなっていることを実感できました。

それから、相手に吸って、弛めて、吐いてもらい、杖を介して伝わる重みを丹田に落とし、そのまま力を抜いたり相手に返したりしました。
お互いの呼吸が一致した状態から、股関節の動きによって杖の中心軸を動かせると、相手の全身に伝わる力となることを感じられました。
股関節の動きが妨げられることなく手指まで伝えられるようにするためには、骨盤と合う位置で後頭部を浮かせ、そこから下の力が抜けるようにしておくことの大切さを感じました。
お互いに技を掛け合う中で、前半に見せて頂いた呼吸によって誘導する施術と同じであることを感じられました。

K野先生、いつも身体が楽になり、多くの発見を得られる講義をありがとうございます。

観照文56

合気観照塾 2013.10.05

今日の観照塾では、「触れること」に対する印象が変わりました。

正坐位で向き合い、相手の身体に片手もしくは両手で触れ、緩みをとって相手を転ばせる技を練習しました。
相手に直接触れてから技を掛けるのではなく、下腹部に息を吸いながら、呼吸に伴って起こる動きに合わせて皮膚に近付けていきました。
相手の周りの空間に接したときから「入れる」ことで、お互いの外表がぶつかることなく繋がり、受ける側の立場でも触れられた感覚が大きく異なることを実感しました。
そのまま吸気を吸い上げていくと相手の頚まで伝わり、そこから浮きに伴って生じたバランスの傾きに付いていけると技になることを学びました。
付いていくときも、呼気に伴って弛んでいく位置を辿ることが出来ると、力を抜いたまま動作を行えることを感じました。

それから、太極棒を持ちながら動作を行ない、道具を持っていても同様であることを実感しました。
体幹を締めながら細くなる位置へ吸い上げ、その細さが途切れないように吐くことを意識して、「雑巾絞り」を行ないました。
太極棒と一体となって動けるように把持することが出来ると、相手に負荷を掛けられても、呼吸に伴う動きが技になることを感じられました。

触れる以前の状況にもっと気を配りながら、物事に取り組んでいきたいと思います。

 

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