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和歌作り

日本の正月に馴染みの深い遊びとして、百人一首があります。
私も正月に家族とかるた取りとして遊んだことがあり、また、小中学校の教材としても扱われていたことを覚えています。
一般的な遊び方は、読み手が「読み札」を読み上げ、取り手が下の句だけが書かれた「取り札」の中から読まれた札を探して、何枚取れるかを競うというものです。
当然、歌を覚えているほうが、読み手が読み終わる前に「取り札」を取ることが出来るため、競技では有利になります。
ここで百人一首の全ての歌を紹介するという試みは無謀極まりないので、私が覚えている歌の中から三首だけ紹介します。

ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらむ

紀友則


<歌意>
日の光がのどかに差している春の日に、心が落ち着かないので桜の花が散っているのであろう。

「ひさかたの」が「光」に掛かる枕詞になっています。

桜の花びらが散っていく様子を擬人化した歌で、春に特有のワクワク感が伝わってくるような気がします。
この歌は、何となく音の流れが好きだったので、意味を知らないまま覚えていました。

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天橋立

小式部内侍


<歌意>
大江山を越え、生野を通って行く丹後への道のりは遠いので、まだ母のいる天橋立の地を踏んでおらず、母からの手紙も見ていません。

「行く野」と「生野」が、「踏み」と「文(手紙)」が掛詞、「踏み」と「橋」が縁語になっています。

私の実家の近くの地名が三箇所も出てくるため、私にとって、とても身近に感じられる歌です。
説明が長くなるので割愛しますが、この歌が詠まれたエピソードを知ると、作者の類まれなる才能に感心させられます。

かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを

藤原実方朝臣


<歌意>
私がどれだけ恋い慕っているかを言うことは出来ないのだから、あの伊吹山のさしも草のように燃え上がる思いを、あなたはご存じないのでしょう。

「言ふ」と「伊吹」が掛詞、「さしも草」が「さしも知らじな」に掛かる同音反復の序詞、「燃ゆる」と「さしも草」と「火」が縁語となっています。

「伊吹山」は岐阜県と滋賀県の境にある山の名前で、現在でも灸に用いるもぐさの産地の中で最も有名です。
この歌が詠まれたのは平安時代ですが、お灸が現在よりももっと身近な治療法であったことが想像されます。

単に音として聴いても綺麗な歌ばかりですが、そこに込められた意味を知ると、様々な発見があって面白いものです。
短い文の中に沢山の思いや意図や遊び心を詰め込むために、助詞の一文字まで細心の注意を払って詠まれていることが伝わってきます。
私も、文章を書くときは一文字一文字の使い方を大切にしていきたいと改めて思いました。

<参考文献>
『原色 小倉百人一首』 著者:鈴木日出男/山口慎一/依田泰 発行所:文英堂

天橋立

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