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考察レポート01

現在、私が学んでいる身体の見方について、西洋医学の視点から観ると、どういった捉え方が出来るかということを考えることがあります。
「○○医学」といった大きな括りで判断するのではなく、それぞれの考え方において、自分自身の感覚と一致する部分、一致しない部分を丁寧に分析していくことが、身体を多方面から観る上で役立つのでは無いかと考えています。
表現するのが困難な部分も多いとは思いますが、取っ付きやすいところから少しずつ、私なりの見解を纏めていきたいと思います。



自分自身の身体を観察する上で、解剖学で得た骨や筋に関する知識は、たいへん役に立っています。
筋の付着部の中枢に近いほうが「起始」、遠いほうが「停止」と呼ばれ、原則として「停止」が「起始」に近付く動きがその筋の「作用」とされています。
自分自身の身体において、動かせていなかった関節や使えていなかった筋が沢山あることに気付き、骨の形状や配置、筋の大きさや走行を参考にして動作を観察することがあります。
けれども、実際に体感した筋の働きを、記載されている「作用」に当てはめようとすれば、食い違いを生じることも多くあり、時には真逆であるかのように感じることさえあります。

何故そうしたズレが生じるかを考えてみると、まず、解剖学では単独の筋の働きとして「作用」を規定しなければならない点にあるように思います。
普段、行なっている動作において、ただ一つの筋だけを働かせるという状況は存在しないため、動作に関わっている全ての筋の「起始」と「停止」の三次元的な位置関係は常に変化します。
筋の走行をみても明らかなように、前面・後面や内側・外側といった分類だけでなく、回旋を伴った複雑な動きが同時に起こっています。
そのため、平面上の直線的な動きとして「作用」を表わしても、非常に限定された状況でしか、そうした働きは起こらないことになります。

もう一点は、「作用」として示される関節の運動が、筋の収縮に伴って起こる動きのみで捉えられている点にあるように思います。
筋の"収縮"という働きに着目して動作を行なうと、筋が収縮した後は、反対の「作用」を持つ筋の収縮によって元の位置に戻さなけばならず、拮抗する筋が交互に収縮し合う一軸性の運動にしかなりません。
私は、筋を緊張させて収縮したり伸張したりするのではなく、縮む側と伸びる側の筋が常にバランスを取り合い、関節の自由度を保っているからこそ、途切れない動作を実現できると考えています。

例えば、肘関節を屈曲するとき、上腕二頭筋が縮み、上腕三頭筋が伸ばされますが、それらの筋を緊張させて肘を曲げ伸ばししているのではなく、肋骨や肩甲骨が動いた結果として両筋の長さが変化し、そこから生じた張力によって肘関節の角度を調整しているような感覚を持ちます。
四肢の肘関節もしくは膝関節より中枢に停止する筋はいずれも、体幹に存在する骨に起始しているため、骨盤や肋骨を始めとする骨の動きによって筋長が変化します。
そして、それらの筋の張力によって、肘関節や膝関節を構成する骨が立体的に動き、四肢の末梢まで同様に、連動した動作が伝わっていくと考えています。
体幹に存在する大きな骨は、小さな動きであっても末梢に働き掛けるのには充分な変化が伝わり、結果として、どの筋にも大きな負担を掛けることなく分担して全身運動を行なうことが可能になります。
日常で行なっているいずれの動作も、そうしたバランスの変化があらゆる関節で起こることによって、全身の協調した動きとして実現できると考えています。

多くのストレッチや筋力トレーニングは、単独の筋に働きかけることに主眼を置いて作られていますが、全身の協調運動という視点から観ると、そうした動作の繰り返しにはデメリットもあるように思います。
私は、全身の協調性が改善し、日常的にそうした動作を取り戻すことが出来ると、特定の筋に対してストレッチをしなくても柔軟性は維持され、トレーニングをしなくても必要な筋力がついてくると考えています。
骨の長さや、筋・腱の張力や、関節の可動域が各々異なることを考えれば、全身の協調運動を「作用」として一律的に表わすことは困難です。
そのため、治療を行なう上では、一人ずつに合わせた協調運動を、指導させて頂くことが必要であると考えています。

<参考文献>
『解剖学』 編者:岸清・石塚寛 発行所:医歯薬出版

上腕の筋

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