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考察レポート02

呼吸は、私たちが絶えず行なっている活動で、肺へ空気中の酸素を取り込み、外界へ血液中の二酸化炭素を放出することが目的とされています。
肺は、自身で伸縮することが出来ないため、筋の働きによって、外気圧に対して胸郭の内圧を下げることで膨らみます。
胸式呼吸では外肋間筋あるいは呼吸補助筋で肋骨を挙上したり肋間を拡張させ、腹式呼吸では横隔膜を収縮させて、胸腔の容積を増やし、肺を膨らませているとされています。

特に意識しなければ、胸式呼吸と腹式呼吸を明確に使い分けることは無く、両者は併用して行なわれます。
横隔膜の働きに注目すると、外肋間筋によって肋骨を引き上げて行なう吸息は、横隔膜の起始と停止を引き伸ばしてしまうため、横隔膜の作用を低める要因となります。
吸息時に内肋間筋や最内肋間筋を働かせ、肋間を広げずに吸息を行なうと、横隔膜の収縮力が高まることを感じられます。
横隔膜の収縮によって腹腔の内圧が上がると、骨盤や脊柱に動きが起こり、それらに付随する筋も呼吸の補助をなし得ます。
単に肋間筋や横隔膜を収縮させるだけでは呼吸は起こらず、意識的にせよ無意識的にせよ、呼吸には外界との通り道を開く意志が介在します。
したがって、深い呼吸を行なうために重要なのは、胸腔の容積を広げることだけではなく、呼吸を助けるあらゆる要因を活かすことにあります。
呼吸には、胸部や腹部だけでなく多くの筋が関わっており、その内のどの筋が働いているかによって、呼吸の質は大きく変化することになります。

私たちの身体には、たくさんの筋が備わっていますが、必ずしもその全てを働かせている訳ではありません。
そこに運動神経が繋がっていても、随意的に働かせることが出来ていない筋が存在し、その動作を他の筋の作用で補っていることがあります。
呼吸によって、骨盤の動きを起こす内寛骨筋や、肋骨を締める働きを起こす内肋間筋といった深層の筋も働き、それらを意識的に伸縮させることが可能になります。
体幹の筋が協調性をもって働くことによって、「考察レポート01」で述べた連動が、四肢の末梢まで伝わり、様々な動作を実現することが可能になります。
また、そうした連動が中枢から末梢という一方向だけでなく、双方向に伝わると考えると、全身のあらゆる筋の働きあるいは骨や関節の整合性が、呼吸に影響を与える要因になるとも言えます。

また、随意的に働かせていない筋が存在することは、運動面だけでなく感覚面に対する損失にもなります。
骨格筋には、脳からの命令を伝える運動神経だけでなく、筋の伸長の速度や張力の程度を伝える感覚神経も接合しています。
呼吸によって変化するのは筋だけでなく、関節の角度や皮膚の張力も呼吸の影響を受け、それらの情報も感覚神経を通って脳に伝わります。
呼吸によって起こる様々な変化を感じ取ることが出来ると、身体に対する感覚が高まり、全身の表面から深層まで意識を行き届かせることが可能になります。

このように、呼吸は、酸素と二酸化炭素の入れ替えだけでなく、運動や感覚においても重要な働きを持っていると考えています。
治療においても、身体に備わっている働きを充分に活かせるように、呼吸を通じた施術をさせて頂いています。

<参考文献>
『生理学』 著者:根来英雄・貴邑冨久子 発行所:南江堂

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