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引用五行

今年の「土用の丑の日」は七月二十六日でした。
昨日は食事に鰻を出された家庭も多かったかと思いますが、その由来はご存知でしょうか。

そもそも、「土用の丑の日」というのがどこから出てきたかと言うと、紀元前の中国で広まった「陰陽五行説」に基づいています。
「陰陽説」とは全ての事象を陰と陽という相反する属性の相互関係によって、「五行説」とは万物の成り立ちを木・火・土・金・水の五つの要素によって説明する考え方で、後にその二つの理論が組み合わさり「陰陽五行説」と呼ばれています。
東洋医学も、この「陰陽五行説」に基づいて作られており、東洋医学の古典である『素門』には以下のように記されています。

東風は春に生じ、病は肝に在り、兪は頸項に在り。
南風は夏に生じ、病は心に在り、兪は胸脅に在り。
西風は秋に生じ、病は肺に在り、兪は肩背に在り。
北風は冬に生じ、病は腎に在り、兪は腰股に在り。
中央は土と爲す。病は脾に在り、兪は脊に在り。
~金匱真言論篇 第四 第二節


五行目の「中央は土と爲す」とは、土とは方角においては東西南北の中央、四季においては「土用」であるという意味です。

「土用」を理解するためには、一年(三百六十四日)を
→立春(一日)→春(七十二日)→春の土用(十八日)
→立夏(一日)→夏(七十二日)→夏の土用(十八日)
→立秋(一日)→秋(七十二日)→秋の土用(十八日)
→立冬(一日)→冬(七十二日)→冬の土用(十八日)
に分けて考えます。
「土用」は一年に四回あるため、合計すると四季それぞれの日数と同じ七十二日となり、これが土に属します。

「丑の日」は「陰陽五行説」から発展した「五運六気説」によって決められています。
「五運六気説」とは、十二支の「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」と、十干の「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」を組み合わせて年・月・日などを表す際に用いられます。
その中で「丑の日」が選ばれた理由には諸説あるようです。
土は先ほど述べたように、五行説で中央に位置し、「万物は土中に生じ、万物は土中に滅ぶ」とも言われるように、全ての事象は土に帰属すると考えられています。
そのため、土の性質を持つ「土用」と土の性質を持つ十二支の中で最初に回ってくる「丑の日」が選ばれたのではないかという説が有力のようです。
本来、「土用」も「丑の日」も一年間に何回もありますが、現在は、夏の「土用」の最初の「丑の日」を指して「土用の丑の日」ということが多いようです。

引用文に「病は脾に在り」とあるように、土は人間の身体においては、脾と関連が深いとされています。
脾は消化や栄養の運搬に関わる重要な役割を持っており、単に解剖学の脾臓を指すものではありません。
つまり、「土用の丑の日」が一年の中で最もよく脾が働く時期であり、その時期に栄養価の高い鰻を食べることによって、暑い夏を乗り切るための土台を作るという習慣ができたようです。
鰻が選ばれた理由としては、「丑」と鰻の「う」が掛かっていることから始まった歴史上の話もありますが、要約すると節分の巻き寿司と同じように商売の一環として始められたということでしょう。

東洋医学を勉強していると、治療に関することだけでは無く、身近なところでの発見もたくさんあります。
陰陽五行説は決して科学的とは言えませんが、それが今でも日本人の生活に深く取り入れられているということは、現代科学とは違った意味での合理性があるからだと私は思います。

<参考文献>
『陰陽五行説 その発生と展開』 著者:根本幸夫/根井養智 発行所:株式会社じほう
『素門ハンドブック』 著者:池田政一 発行所:医道の日本社

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コメント

 我々の生活に潜んでいる「陰陽五行」については、吉野 裕子さんの「カミナリさまはなぜヘソをねらうのか」がお勧めです。

 「キュウリ巻きをカッパ巻きというのはなぜか」「お稲荷さんに、なぜ油揚げを供えるのか」「なぜ鬼にはツノがあり、トラ皮のふんどしをしめているのか」…など、様々な事柄・習慣の裏に「陰陽五行」の考えが潜んでいる...それを愉しく紹介しています。

 ある意味「掛け言葉・言葉遊び・こじつけ」的な部分がありますが、物事とそのバランスを捉える1つの「視点・切り口」として個人が「陰陽五行」を用いてきた事が分かります。

 治療はその「いち側面」で更にマクロな視点で「陰陽五行」を捉えると、また、観方が変わるかもしれません。

 しかし、これだけ異常気象ですと季節感がなくなり、暦に観る季節の言葉も実感が無くなりますね。
ありがとうございます
吉野裕子さんに関して話は聞いたことがあったのですが、まだ読んでいません。
紹介して頂いた内容を見ても、「陰陽五行説」とどのように結びついているのか想像出来ませんが、どれも面白そうですね。
言葉遊びもこじつけも楽しめるほうなので、ぜひ読んでみたいと思います。

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