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乗るウェイ

身体観の変化は、そのまま治療に反映されることを感じています。

私は、西洋医学の考え方が、医療系の学校で教わる以前から染み付いていたように思います。
消化器は食物の分解や栄養の吸収、呼吸器は酸素の取り込みや二酸化炭素の排出といったようにそれぞれの臓器に個別の役割があることを学びます。
運動器では、骨格は下の骨に上の骨が乗るように配列して身体を支え、筋が収縮することで骨が動いて関節に運動が起こり、物理学の法則に従って、それらが働いているイメージを持っていました。
けれども、観照塾や中心塾の稽古を通して、毎度それまでに抱いていた身体観とは異なる経験をさせて頂いています。
身体には自然に備わった働きや繋がりがあり、それによって医学的に説明するのが困難な現象にしばしば遭遇します。
現代医学で解明できていない部分があるというよりは、科学で説明できる一部だけを取り上げて医学が作られているのかも知れません。

東洋医学は、患者さんの全体を診るという点から、よく西洋医学と比較されます。
しかし、一言で「全身のバランスを整える」と言っても、経穴や経絡を知識として学ぶだけでは、結局は触れている場所だけに留まってしまうことを実感しています。
私は、鍼治療を始めた頃、患者さんの身体のあまりの広大さに途方に暮れそうになったことがあります。
経穴の位置を教科書から得た知識で探し出そうとすれば、例えば「外くるぶしの直下」という限られた範囲でさえ、鍼先を当てる点がいくらでも有るように感じます。
それに鍼の向きや深さなども加わると、同じ経穴を選んでも、刺入の方法は無数にあるとも思えます。

いまは、身体に対して、違った意味での広さを感じています。
身体はどこからでも繋がっており、どこからアプローチしても、それに応じた反応が起こることを感じています。
何度も通っている道は目的地まで迷わずに案内できるのと同様に、自分が体験した身体の繋がりは、相手の身体にも誘導できることを感じています。
そして、どの経穴を選ぶかというより、患者さんのアンバランスに対して、どの繋がりが効果的に働くかを診れるように心掛けています。
繋がって弛んでいく働きの中で、皮膚や筋の緊張が和らいだり、関節が合う位置に骨が動いたり、血管や神経の通りが改善したり、精神的にリラックスできたりします。
それらは個別に整えられるものではなく、心身に起こる反応と共に、同時に生じることを感じています。

そして、固まっている場所があっても、そこに拘らず動かせる場所から隙間を見つけられることを学ばせて頂きました。
例えば五十肩で肩が上がりにくい方も、上がらないというイメージを受けることなく、動きやすい場所から通り道を探していくことの大切さを感じます。
静止しているものを自力で動かそうとするより、転がっているものに合わせて動くほうが、楽に働き掛けることが出来ます。
横になって寝転んでいるときでさえ、全身が動いていることを感じられるようになってから、施術に取り組む心持ちがより軽くなりました。
そうした働きが起こりやすいような、環境を作ったり、ポジションを整えたりするだけで、後はいかに邪魔をしないことが大切かを感じています。

これからも、呼吸したり、身体を動かしたり、治療させて頂く中で、身体観を変え続けて行きたいと思います。

吊り橋

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